今回は実際に千葉どうぶつ総合病院で行われた、副腎腫瘍摘出手術の症例についてご紹介いたします。
1.基本情報(患者情報および状態の所感)
- 犬種:ミックス
- 年齢:11歳
- 性別:去勢雄
- 体重:6.6kg
- 主訴:他疾患検査時に腹腔内腫瘍が認められて他院より紹介受診
2.実例(検査~手術~術後までのプロセス)
検査所見
超音波検査
・左副腎の腫大(約3.7×3.8cm)を認めた。
・右副腎の腫大(約1.1×1.3cm)を認めた。
腹部CT検査
・左副腎4cm径に腫大、右副腎1.5cm径に腫大。両副腎とも球形で造影増強は斑。
・左腎静脈は副腎腫瘤により尾側に変位。
・脈管への湿潤所見は認めない、転移所見認めず。
・脳下垂体は描出されず。
以上より機能性副腎腫瘍と診断し、両側副腎腫瘍摘出手術を実施した。
副腎に腫瘍ができると、ホルモンを過剰につくってしまうことがあります
ホルモンを過剰に分泌するかどうかで、副腎腫瘍は機能性副腎腫瘍と非機能性副腎腫瘍に分類されます
ホルモンを過剰に分泌するかどうかで、副腎腫瘍は機能性副腎腫瘍と非機能性副腎腫瘍に分類されます
手術所見
以下簡単な手術の流れになります。
- 剣状突起頭側から臍下にかけて広く正中切開、開腹。
- 左副腎4cm径に腫大、球形状で暗青色。周囲組織から剥離し左副腎を摘出。
- 右副腎1.5cm径に腫大、頭側側が球形に腫大。周囲組織から剥離し右副腎を摘出。
- 定法通り閉腹
Photo
術後所見
術後の経過も非常に良好であり、術後2日で退院となりました。
退院後はホルモン補充療法にて通院治療継続し、現在まで経過良好です。