今回は実際に千葉どうぶつ総合病院で行われた、子宮蓄膿症の症例についてご紹介いたします。
子宮蓄膿症は子宮内に細菌感染が起こることで膿が溜まり、さまざまな症状を引き起こす病気です。
避妊手術を受けていない中高齢以上の犬で発症が多く見られます。
基本情報(患者情報および状態の所感)
- 犬種:チワワ
- 年齢:11歳
- 性別:未避妊雌
- 体重:1.9kg
- 主訴:自宅帰宅後ぐったりしている様子で夜間救急にて来院
実例(検査~手術~術後までのプロセス)
検査所見
身体検査
・振戦、四肢での起立は出来ず直ぐに伏せる。陰部からの排膿は無し
血液検査
・WBC 1600/µl低下
腹部超音波検査
・子宮内液体貯留ほぼ消失。腹水貯留を認める
腹水検査
・好中球中心。球菌・短桿菌を認める、好中球貪食像あり
以上より、細菌性腹水/子宮内容物の消失から子宮蓄膿症/破裂と判断し、卵巣子宮全摘出手術を実施した。
手術所見
以下簡単な手術の流れになります。
- 腹部正中切開、開腹
・腹腔内にやや混濁した腹水が少量貯留
・子宮体部背側(子宮頸管の直ぐ頭側)に瘻孔を形成し膿汁を排出
・子宮頸管部は全体的に暗色を呈する - 定法通り卵巣子宮を全摘出
- 腹腔内を洗浄
- 定法通り閉創
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術後所見
術後も状態良好の為、翌日退院となりました。